表紙はライフログにあります。
家族と住宅の関係は、私の建築家としてのテーマのひとつ。 西川祐子先生は日本の文学作品に描かれてきた家族像から 時代と共に日本の家族がどう変わってきたのかを読み解く仕事をつづけられている。 特に、この本では住居のあり方がどう変わってきたのかを 小津安二郎の「東京物語」や高畑勲の「火垂るの墓」などの映像、 公団住宅の2DK誕生の物語、山本理顕の集合住宅など 多彩な資料、実例を紐解きながら 抽象的になり過ぎずに、実感をもって描いてみせる。 また、西川先生は伝統的な日本の家を「いろり端のある家」と「茶の間のある家」の二重構造と捉え、戦後の家を「リビングのある家」と「ワンルーム」の二重構造と捉える。 サブタイトルだけ見ると、戦後日本の家の在り様は「男の家」から「女の家」へ、そして「性別のない「部屋」」へと変遷したのだ・・・と言っているようにも受け取れるが、ことの実際はもっと複雑で多様な様相を呈していることを分かった上での、シンプルで明快な語り口が、説得力を持っていた。 もともと大学の講義を本にまとめるというコンセプトがあり、講義一回分を一章として、全14章からなる章立ては、新書の一章としてはかなり短いので、テンポよく読み進めることができて、気持ちよく読み進めることができた。 論理構築、文体の平易さ、本作りのコンセプトなど、とてもバランスのとれた、レベルの高い本だと思いました。
by craftscience
| 2006-08-15 11:35
| 本・映画・音楽
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クラフトサイエンス
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