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所沢聖地霊園(建築家・池原義郎1973年)

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先日、所用があって所沢にいった。
時間が少し余ったので、以前から見たいと思っていながら見ていないかった
「所沢聖地霊園」に向かった。
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早稲田大学の教授であった池原義郎先生の若いころの代表作。
私も学生時代、講義や演習などで教えを受け、
特にこの所沢聖地霊園は建築学科の一年生の製図の課題でトレースをした作品として思い出深い。

学生当時は折れ曲がったアプローチのある配置図や
盛り土した斜面の下に納骨室のある構成の断面図や
手を広げた指ように、ギザギザと襞を伸ばしたような納骨室の平面図などに戸惑い、
その建築的な効果やデザインの意味がよくわからずにいた。
今ならよくわかる。
そのランドスケープ的な効果、シークエンスの体験の効果が。
全体構成から、人の手が触れる細部まで、デザインを透徹することで
この場の力が高められている。

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盛り土し、芝生で覆われた緩やかな斜面の向こうに片流れの屋根が見え、
屋根のコーナーにはガラスのキューブが載っている。
キューブの中には照明が仕込まれ、礼拝堂の採光のためのトップライトにもなっている。
このガラスのキューブが、霊園のほとんどこにいても目にとまるような高さにかがげられている。
でも塔を建てたような高さではなく、あくまでも林の中にひっそりとたたずみ、
大地がムクムクと盛り上がった頂点が光輝いている、そんなイメージが具現化されている。
水平に広がっていく意識の流れと内に秘めた生命力を同時に表現しているように思う。

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池原先生の鉄のキャノピーや門扉のデザインからは学ぶところが多い。
納骨堂の入り口扉は鉄の一枚板に切り込みを入れ、鉄板がめくれて取っ手になったり、
ささやかな装飾となったりしている。
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墓石型に切り込みを入れやや倒れこんだようにめくったようなデザイン。
こういう詩的なものをさりげなく組み込めるには、さすがだなーと感心するばかり。


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ここんところよい建築を見ていたいなかったなあと反省してしまいました。
今頃、自分の習った先生の作品を見にいくという、自分の不勉強さを反省しつつ、
あらためて、建築の力というものを実感できたのでありました。
73年の作品なのだからもう40年近くたっているのに、
この建築によって高められた場所の力は全く衰えていないことに驚きを感じた。
この霊園を訪れている人々にとって、命と向き合うというかけがえのない時間を過ごすことに
この建築がどれだけ寄与していることかと思うと、
自分も建築家として立っていられることに誇りと喜びを感じ、勇気をいただいたように思います。
池原先生ありがとうございました。
by craftscience | 2011-01-29 07:45 |

古材を使う

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柳沢商店(葛飾区水元)にいくと、巨大な倉庫のなかに古材がひしめき合いながらストックされている光景に圧倒される。その古材の山の中から、その時その時の用途やほしいサイズを考慮に入れながら、探す。店主の小林さんにこれくらいのサイズでこんな用途で使いたいんだけど・・・というと「こんなのはどうですか・・」倉庫の中を案内してくれて、見せてくれる。

「時を重ねる家」の玄関扉の両脇に添えられたヒノキの厚板がこの写真。
幅450長さ1800、厚50程度の2枚の板。かつて、住宅の床の間として使われていたようで、裏側には建具の溝が掘りこまれている。こういった過去の痕跡を活かすのも面白い。

この板と壁の間に5センチほどの隙間をとって細長いガラスを入れて光を導き、
もう一枚は足元を20センチほど浮かしてとりつけそこにもガラスを入れています。
夜、室内の明かりがほのかに足元を照らしてくれます。

古材も持ち味を生かしながらも、そのままでは新しい部分とちぐはぐになるので、そこはうちの事務所で手を入れて(ペーパー掛けをして、オイルや塗料で表面を調整しています)建物全体のデザインと調和するようにしています。
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by craftscience | 2011-01-27 07:56 | 2010時を重ねる家1@埼玉県桶川

吹き抜けのあるリビング

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吹き抜けのある家って、やはり気持ちがいいですね。
私も将来、自分の家を設計するときになったら
吹き抜けをどこかにつくると思います。

吹き抜けのメリットはやはり解放感。
高い天井により上昇感が生まれます。
さらに上手に視線が抜けていくような窓を配置すれば
よりいっそう開放感が高まり、実際の広さよりももっともっと広く感じます。
窓を見上げると、空の色の変化や雲の流れが見え、
夜中にふっと起きた時にぽっかり月が浮かんでいる…なんてのが見えるのもまた一興です。
私は細長いFIX窓をよくデザインするのですが、
そこから夜中に月が見えて、月明かりが静かに部屋を満たし、
なんともいえない幻想的な光景に出会った話を、
何人かの建て主さんから聞きました。

細長いスリット窓は日中の光と影の変化をドラマティックに映しだしてくれます。
それには壁面の仕上げも大切です。
この家では左官職人にしっくいを塗ってもらいましたが
特にこだわって、微妙なコテ跡を、ほのかに残してもらっています。
手の痕跡をあえて残しています。
ただし、あまりにわざとらしくならないような微妙さで仕上げてもらうところにこだわりました。
やはりビニールクロスの壁では決して味わえない微妙な陰影の「うつろい」を楽しめますね。

一方、吹き抜けのデメリットはやはり冷暖房の効率です。
空間が大きくなる分、気積も増え、冷暖房の負荷も高まります。

私は吹き抜け空間には床暖房をおすすめしています。
床暖房の輻射熱によって空気が暖められ、人間は暖かさを感じるので、
人のいるところに近いほうが効率が良いわけです。
また、直接触れているところが温かいのはとても気持ち良いです。
by craftscience | 2011-01-18 11:51 | 2010時を重ねる家1@埼玉県桶川

「時を重ねる家」が掲載されました。

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埼玉桶川に昨年竣工した「時を重ねる家」が
「HOME Portrait vol.3」に掲載されました。

「住宅名人・10人」に選んでいただき光栄です。
安井正×「古材」でどんな家ができるのか?
紹介していただきました。
by craftscience | 2011-01-17 17:19 | 本・映画・音楽

2011年 新年のご挨拶

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昨年、お世話になった皆様
たいへんありがとうございました。

今年は、公私ともに新たな展開へと
一歩を踏み出す年になりそうな予兆もあり、
よい形で着実な一歩が踏み出せるよう
一日一日を大切にしたいと思います。


昨年末に、家族で八ヶ岳のふもとに建てた家に行ってきました。
小雪が舞う中の訪問でしたが、薪ストーブの火も暖かく
心地よい暮らしがはじまっているご様子で
嬉しく思いました。

写真はその時、建て主のZさんにとっていただきました。
上の娘は今年小学校にあがり、下の娘も三歳になりました。

本年も、よろしくお願いします。
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by craftscience | 2011-01-01 12:02 | 日々の雑感