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09年2月1日 中古住宅購入&リノベーションの住宅見学会

2009年2月1日(日)に住宅見学会を行います。

東京、阿佐ヶ谷で中古住宅を購入、
古材やアンティーク家具などをしつらえたリノベーションです。

雑誌「ティンガル」2号にも掲載されています。

詳細はこちら
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by craftscience | 2008-12-26 11:33 | セミナー・見学会

ジェットコースターの時代を生き抜く その2

ジェットコースターの時代を生き抜く その2

ジェットコースターの時代を生き抜く術。まずは、あんまり深刻にならないことだ。それには、人間の意識をあんまり過信しすぎないこと。そして、いまこの世に自分が生まれ、心臓が動いて、血が巡って、生きているという事実。それを信用してよいのだということ。いまの自分のまわりの家族や友人や仕事の関係者のなかにいること、そこで起きている出来事を信用していいのだということ。

「宇宙船地球号操縦マニュアル」で知られるバックミンスター・フラー(1895-1983)は32歳のころ事業に失敗、貧困の中、劣悪な住環境のなか幼子を亡くしてしまう。失意のどん底に突き落とされたフラーは自殺をはかる。しかし、フラーはそこで深い啓示を受けたかのように踏みとどまる。フラーの生涯をかけた取り組みが、そこから始まる。フラーはそのとき深く認識したという。われわれは宇宙によってデザインされている。宇宙はこの上なく精妙にデザインされている。真に意味のあることに取り組んでいれば、宇宙が食べさせてくれるさ・・・と。

私が建築学科の学生のとき、バックミンスター・フラーの研究を卒業論文のテーマにした。科学とデザインの関係に興味があったからだ。そのとき梶川泰司さん。研究室のフラーゼミを専攻する仲間たちと、当時、神奈川県の国府にあったシナジェティックス研究所へ行き、フラーについて様々なことを教えていただいた。梶川さんはフラーの生前、直接フラー研究所でフラーの晩年の幾何学研究の助手としての仕事を経て、日本を拠点にフラーの本の翻訳とシナジェティックスの発展的研究に従事されていた。

そこで、私たちはフラーの著書「コスモグラフィー」の下訳のお手伝いをさせていただいた。担当箇所を決めて、それぞれが訳文を持ち寄って、読みあわせをし、理解を深める。そんな作業を何回か重ねた。

フラーの巨大な思想に、梶川さんのところに出入りしたおかげで、ほんの少し触れることができた。その全貌を理解するには到底及ばなかったが、私なりに感じていたことは、フラーの思想のなかにある「個人の尊厳」のようなものだ。それは、私たちは誰もが意味のある存在として宇宙の相補性の網目のなかで生きている。その相補性は私たちの意識を超えたものなので、私たちは完全には理解できないし、意識化できない。だから私たちは失敗もする。でも相補性のなかではその失敗にも意味がある。次の展開のきっかけになったり、思わぬところで誰かの役に立っていたりする。本当の意味での失敗はありえないのだ。その意識を超えたところでの存在価値を信じていてよいのだ、ということ。

これだけ書くと、なんだか神秘主義のように聞こえてしまうかもしれない。確かにフラーの思想には神秘主義的なところもなくはない。アメリカのトランセンデンタリズム(超絶主義)の大家だった叔母さんの影響もフラーは受けているとみる説もある。

そこには、仏教的な考え方の「縁」であるとか「他力」ということと共通性があるのだと思う。神秘主義だから悪いと決め付けることもないだろう。

しかし、フラーはロジカルシンキング、クリティカルシンキングの元祖のようなところがあるし、フラーは科学的な思考を徹頭徹尾つらぬいた人でもある。だからこそフラーは単純に神秘家とも、客観的で冷徹な科学者とも違った、全体性をもった思想として、いまも学ぶに値するのだと思う。
by craftscience | 2008-12-14 06:22 | 日々の雑感

ジェットコースターの時代を生き抜く その1

きのう、うちの近所ではガソリンの値段が112円まで下がっていました。
8月ころにはどんどん値上がりして一時は180円を超え、
どこまで上がっていくのかと不安に感じた記憶も新しいのに
いまや、どこまで下がっていくのか不安に感じてしまう。
そんな急転直下な状況が起きようとは、あのころは思っても見なかった…
という人も多いのではないでしょうか。

経済のグローバル化が進行した時代の世界的な金融危機がもたらした
最近の景気の悪化は、かなり深刻なものがあるのは確かでしょう。

設計事務所を営むものとしても切実なものを感じています。

家づくりをこれからはじめようと考えていたひとも
二の足を踏んでいるのが現状ではないでしょうか。

でも、こういう状況が来ることは予見していました。
建築家の内藤廣さんが、ちょうど二年前に
ジェットコースターの時代がはじまるということをいっていました。

雑誌「住宅建築2007年1月号」に書いていた「土地と場所」という文章です。
その一部を引用してみます。
「われわれは現在、ジェットコースターの最初の頂上に居るようなものだ。これから先は、急降下、宙返り、絶叫するような時代がわれわれを待っている。今の内に心づもりをしておかねばならないだろう。峠の頂上で見えてくる次なる別天地はどのようなものか、その眺めをしっかり見ておかねばならない。」

あれから二年後。
いま、まさにジェットコースターの時代がはじまったととらえてよいと思います。

しかし、あわてず、焦らず、それではどうしたらよいのか。
一つは広い視野をもって、時代の変化を大きくとらえていくことが大切だと思います。

そのために私がこれまで折に触れ学んできた三人の偉大な人物、
バックミンスター・フラー、ウィリアム・モリス、クリストファー・アレグザンダー。
彼らの思想や実践をこのコラムを借りて紹介し
その影響のもとで私のクラフトサイエンスでの仕事も紹介しながら、
このジェットコースターの時代をいかに生き抜くかということを
シリーズで考えて行きたいと思います。
by craftscience | 2008-12-14 06:19 | 日々の雑感

Tinggal(ティンガル)に阿佐ヶ谷の家が掲載

昨日発売になった雑誌「Tinggal」vol.2に
「阿佐ヶ谷の家・改修」が掲載されました。

「長く愛せる家」がテーマの特集です。
「ピカピカの家よりも、いっしょに年をとってくれる家であってほしいです。」
という建主さんの言葉がとても印象に残りました。

古いものが似合う家・・・
この家のリフォームの仕事で大切にもっとも大切にしたところです。

ぜひ読んでみてください。
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by craftscience | 2008-12-12 11:37 | 2008再生の家・阿佐ヶ谷

薪になっても生きている木

リノベーションを今年の春にした「阿佐ヶ谷の家」にうかがったら
薪ストーブ用の薪が土間につみあがっていました。

この薪が、ピキピキ、ピシ、ミシ・・・と音を立てているのです。
乾燥しながら、木が動いている音なのです。
はじけ、割れ、ねじれたり、ずれたり・・・、
そういう音なんですね。

まさに生き物のように生きているのです。
薪になっても、こんなにもはっきりと聞こえるほどの音をはっしながら
じわりじわりと生きている。
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そんな内に秘めた力を感じさせてくれる音でした。

ちょうど今、幸田文の「木」という本を読んでいます。
このなかでも「木は二度生きる」という話が出てきます。
大地に根をはり成長するときの生と
伐採され、材として建物などに使われるときの生と
木は二度生きるというのです。

木で家をつくることは
材となった木に二度目の生をおくってもらうことなのだと認識し
身の引き締まる思いでした。
by craftscience | 2008-12-08 06:27 | 2008再生の家・阿佐ヶ谷