カテゴリ:リユース・デザインの家づくり( 4 )

リユース・デザインによるキッチン

私がよく古材を買い付けに行く倉庫には、古い家具の引き出しだけとか長持のふただけとかがゴロゴロしている。
そこの主人は、古い水屋箪笥など修理してはアンティークマーケットなどに出品するなど、古道具や古家具を扱うお仕事をされている。
だから、いつか何かの使い道があるかもしれない・・・と思って本体の無くなった引き出しなどが積上っていたりするわけである。
そんな倉庫を歩いていると、積上った引き出したちが、
「オレッちをどこかで使ってくれないかなぁ~」
と、つつぶやいているような気がしてくる。
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ある住宅のキッチンを設計しているときに、そういえば・・と
引き出したちのつぶやきを思い出して、彼らをキッチンの棚に使うことにした。
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まずは適当に引き出しをセレクト。
次に、目に留まったせいろの枠を取り出して並べてみた。
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今回のキッチンの対面カウンターのサイズと天井の高さなどをあり合わせの箱を並べて再現。
そこに箱のレイアウトを検討。
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いろいろ動かしながら手の届く高さや、視線の抜け具合などを考えながら、位置を調整。
固定するための支柱も建具の框材などを引っ張り出してもらって検討。
ほぼほぼこれで良さそうだなというところで、パーツ一つひとつに番号をチョークで記入して採寸。
それを事務所に持ち帰って図面化。
建て主さんに提案しました。
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そうして出来上がったキッチンがこれ。
引き出しの取っ手にもものが吊るせて、楽しいブリコラージュ的な棚ができ上りました。
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by craftscience | 2015-11-18 12:37 | リユース・デザインの家づくり

房総半島のど真ん中「最終処分場」見学記

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NPO家づくりの会で行っている
住宅設計者のための「家づくり学校」。
私は2年生の担当主任としてかかわっていますが、
11月12日に行われた「古材、再生素材」の見学会は私も担当講師として見学場所のルート決めや、ゲスト講師の依頼など、段取りがいろいろと大変でした。

でも、私のテーマ「古いものを活かした家づくり」をやっているものとしては、
参加者のみなさんには、中身の濃い時間を過ごしてもらうために、力を入れて準備しました・・・、
というよりか、自分の勉強のために頑張りました。

見学の報告は家づくり学校公式ブログに書きました。
ぜひ読んでみてください。
by craftscience | 2011-11-16 14:12 | リユース・デザインの家づくり

「古さ」と「新しさ」の価値の転換

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古い家を全面的に改修するリノベーションはもちろん
新築の住宅をつくるときも、
どこかで古いものを活かせないかとよく考える。

無から有を創造するのではなく、
すでにそこにあるもの、
古くて活用されずに眠っているもの、
人々に省みられなくなって久しいが、じつは良い質をもっているもの。

そういった古いものたちの中に、新しい価値を見いだすこと。
そこが面白い。

「存在しているあらゆるものに意味がある」
という信念のもとでは
ゴミと有用品、古さと新しさ、無価値と価値は容易に転換する。

自分で手を入れる。
この行為によって、
それまでは自分の内面にしか存在しない
微かな「疼き」のようなものでしかなかった何かが
他者の目に見える形になる。
あるいは自分にとっても、美という感覚として実感できるものとなる。

他者にとってはゴミでしかなかったものがゴミでなくなる。
これは価値が生まれた瞬間ではなかろうか。

そんなことを考えながら
日々の暮らしの中に古いものを活かしていく・・・、
ということに取り組んでいます。

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by craftscience | 2011-11-10 08:51 | リユース・デザインの家づくり

年輪=「時を重ねる」という事実の可視化

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杉並区西荻窪で工事中のB邸では、古材の桁(かつて古民家で使われていた杉の丸太を2本)を使っている話は以前このブログでも書いた。
先日、現場に行ったとき、そこに置いてあった2本の杉丸太の切れ端に、惹きつけられた。断面に目が行ったのだ。
同行したスタッフに「年輪の数を数えてみな・・・」と指示。
玄関扉の作り方の打ち合わせをサッシ屋さんと打ち合わせをしている間にスタッフのO君が数えてくれた。「一本が35年、もう一本が58年でした。」

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上の写真が58年生。下の写真が35年生。年輪の幅が違うのがはっきりとわかる。
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結構違いがあったのに驚いた。そして、何かとても大切なことを発見したような喜びがあった。
太さはどちらも30センチくらい。樹種も杉で同じ。でも、この二本はけっこう違いがあるのだ。
年輪は成長の記録であり、季節のうつろいによって刻まれる。
樹の幹の切断面を見ると白っぽい幅の広い輪と、赤茶色の濃い色の輪とが交互に繰り返されているのが、はっきりとわかる。白っぽい部分を早材といい、春から夏にかけての暖かい季節に形成される。太陽の光をいっぱいに浴びて、水を地面からグングンと吸い上げ、どんどん細胞分裂を繰り返し早く成長するから「早材」という。一方、色の濃い部分は秋も深まり、太陽の日差しも弱まって成長が緩やかになったころに形成される層である。冬寒くなると成長はほとんど止まり、寒さにじっと耐えながら春のおとずれを待つのである。一年の成長サイクルの「晩期」に形成されるそうなので、この層を「晩材」という。
年輪を重ねるということは、毎年毎年繰り返された成長の軌跡なのである。
この当たり前の事実がなんだか今の自分にはとても愛おしく感じられる。そして、一本は35年の年月を経て成長し、もう一本は58年かけて成長したという、「生き物」として生きた事実が、そこに刻まれているのである。
35歳といえば、建築家の人生に重ねて言えば、まだまだ「若手」である。58歳といえば中堅からベテランへと成熟したころか。まあそれくらいの差があるといえる。
見た目の太さは同じでも、よく見ると58年生のほうは周辺部の目が詰まっているのがよくわかる。ゆっくり、ゆっくりと成長したわけだ。一方の35年生のほうはどんどん、スクスクと育った。おそらく寒い地方で育ったのが58年生、温かい地方で育ったのが35年生なのだろう。

材の強さとしては目の詰まったほうが強い。58年かけてゆっくり育ったほうが強いのだ。
一方、早く育つというのは産業社会的な価値観からするとよいことだ。実際、「りゅーべー単価」といって、木材は「立法メートル当たり何円か」という単位で木材業界では取引されている。だから短い期間で大きな材積が得られたほうが経済効率としては良いわけだ。
どちらが良い悪いではない。それぞれの個性。同じように見えるものでもよく見ると多様性が広がっているということだ。それを二本の丸太の断面が教えてくれたような気がした。
by craftscience | 2011-02-11 13:27 | リユース・デザインの家づくり