この家のリフォームでは、 床材について 建主さんとともに、ずいぶん悩みました。 古びた風合いに、落ち着きを感じる、 時を経たものに魅力を感じる、 といった感覚を大切にして空間をつくろうとしたときに、 どんな床材を選択すべきなのか・・・ ずいぶん自問自答しました。 本物の古材も探しましたが、 靴を脱いで生活する場である住宅には ささくれ立ったりしたものは当然使えないので 古材はかなり難がある・・・と判断。 新しいフローリング、 例えば私がよく使うラーチ(カラマツ)のフローリングは、 はじめは白木のような色味でも 年月と共に飴色に変わっていくものがあります。 しかし、それには10年、20年と時を待たねばなりません。 それはそれでよいのですが、 この家では、竣工したときにトータルに全体が調和していたいと思いました。 結局、オージー・メイト・ティンバースで加工している ハンドスクレイプのものを使いました。 この店のオリジナルな商品で、 店主自ら、手作業で削ったり、オイルやワックスで着色しながら 古材のような風合いを出しています。 この「手づくり加減」が、決め手となりました。 手加工して風合いを出すので、あくまでも物真似といえますが これはこれでよいではないか、と思いました。 ウォッシュアウトしたジーンズを違和感なくはいているのと同じ感覚です。 あるいは、大量生産品にはない、手づくりならではなの質感があるのは確かです。 これは現代的な「建築装飾」なのではないか、と考えると、 いろいろと興味深い、文化や表現のテーマにもなりそうです。
by craftscience
| 2008-09-19 10:53
| 2008再生の家・阿佐ヶ谷
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クラフトサイエンス
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