天井のデザインというのはあんがい難しいと感じている。 よくやる手法は構造体を見せる天井。 梁や根太、垂木をあらわしとして仕上げると、空間が力強く引き締まった感じになる。 構造的に力を受けて、働いているものを私たちは無意識のうちに理解して、そこにある眼に見えない「力」を感知して、空間の質をとららえているのかもしれない。 いつも、そればかりでは面白くないし、法規的に内装制限などの関係で天井を張らなければならないこともある。そのとき、どういった材料で、どのように見せていくか、悩むことが多い。 この写真の事例では、和室として、品のよい落ち着きややわらかさを出したかったので天井を張ることにしていた。実施設計の初めのころは照明を中央にひとつだけで考えていたが、お琴のお稽古場としても使うことから、もっと照度を上げる必要性を感じて、対角線上にダウンライトを二つ設けることにした。 さて照明は決まった、でも天井のデザインとしてどうなのか疑問に感じ、2センチと1.5センチのラインを天井面に施すことにした。 これは装飾である。 二つのラインは幅だけでなく、厚みもわずかに違う。 照明を避けるように鍵方に折れ曲がったラインを作ったら、とたんに生き生きとした表情ができてきた。 ちょっと和風を逸脱して、大正時代あたりの近代建築を髣髴させる感じになった。 私としては、聴竹居などで知られる藤井厚二へのオマージュのつもり・・・という意識もあった。
by craftscience
| 2014-08-04 23:09
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クラフトサイエンス
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