昔懐かしい小学校ストーブ、ポット式ストーブ

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八ヶ岳のふもと、富士見高原に建つこの家は、
標高1000メートルを超える寒冷地に建っています。
寒い土地ゆえ、暖房システムをどうするか、
決定するまでいろいろと悩みました。
もっとも寒い時期には-10℃を下回ることもしばしばある土地です。
私自身は寒冷地に住んだこともなく、
八ヶ岳のふもと北杜市に薪ストーブのあるセカンドハウスの設計実績はあるものの、
標高1000メートルもの土地で自身をもってお勧めできる暖房としては
薪ストーブくらいしか思いつきませんでした。
しかし建て主さんは薪ストーブには余り乗り気ではありませんでした。
「私は薪の調達や火の世話などに手間をかけるのを楽しみにするタイプではない」
「ボタン一つで確実に、すばやく温まるのが良い」というのです。

そこで以前から付き合いのある甲府市の工務店
小澤建築工房の小澤さんに相談しました。
小澤さんは長野県、山梨県などの寒冷地での家づくりについてはとても経験豊富です。

その小澤さんが勧めてくれたのは
OMソーラーとして知られている太陽熱利用システム「ソーラーれん」でした。
別荘で、外気温が氷点下になる季節に一週間も留守にしていれば、
当然、室内も氷点下まで下がってしまう。
でも、ソーラーれんを入れておけば、
留守中も勝手に太陽の熱を集めて床下のコンクリートに蓄熱してくれるので、
外が-10℃でも室内は7℃くらいを保っているといいます。
とはいえOMソーラーだけでは寒冷地で暖をとるにはパワー不足なので、
当然別の暖房システムで補う必要があります。

しかし、小澤さんに現地を見てもらったところ、
この土地ではソーラーは難しいかもしれない・・・という話になりました。
この土地、赤松の林のなかにあり、敷地の南側に30m近い、
ひょろひょろっとした赤松が群生しているのです。
この赤松が日差しを遮ってしまい、
冬に建物を暖めるほどの集熱が期待できそうもないということになりました。
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そこで登場したのがポット式ストーブです。
私が子供のころ学校の教室にこんな形のストーブがあって、
灯油を汲みに当番が行くなんてことがありました。
ストーブの近くの席になると、授業中に顔が火照ってしまってしょうがない。
そんなハイパワーのストーブです。

サンポットというメーカーが今でも製造しています。
この家では灯油タンクを屋外に設けて、
灯油やさんと契約して、灯油が減ると給油に来てくれます。

これ一台で家全体をできるだけ暖めようとLDKの真ん中にできるだけくるように、
基本プランの段階からその位置については考えていました。

輻射熱で暖をとる暖房方式はとても暖かく感じられて快適です。
エアコンなど温風が吹きつける方式は、快適性に劣ると思います。
なぜなら、たとえ温風でも、体温より低い温度の風は人間から熱を奪っていきます。

私が20代のころお世話になっていた設備設計家のテーテンス事務所・葉山成三さんは
「暑さ寒さは、熱のスピードだ」
とよく言っていました。
体から熱が奪われるスピードが速ければ速いほど人は寒く感じるというのです。


吹き抜けを設けた空間にストーブをおいているので二階の部屋にも暖気が回ります。
2階の吹き抜けに面した壁に窓を設けているので、
一階でつくられた暖気が、その窓を通して二階の部屋を暖めてくれるわけです。
by craftscience | 2014-01-14 23:03


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