所沢聖地霊園(建築家・池原義郎1973年)

c0087532_7503191.jpg


先日、所用があって所沢にいった。
時間が少し余ったので、以前から見たいと思っていながら見ていないかった
「所沢聖地霊園」に向かった。
c0087532_6474023.jpg


早稲田大学の教授であった池原義郎先生の若いころの代表作。
私も学生時代、講義や演習などで教えを受け、
特にこの所沢聖地霊園は建築学科の一年生の製図の課題でトレースをした作品として思い出深い。

学生当時は折れ曲がったアプローチのある配置図や
盛り土した斜面の下に納骨室のある構成の断面図や
手を広げた指ように、ギザギザと襞を伸ばしたような納骨室の平面図などに戸惑い、
その建築的な効果やデザインの意味がよくわからずにいた。
今ならよくわかる。
そのランドスケープ的な効果、シークエンスの体験の効果が。
全体構成から、人の手が触れる細部まで、デザインを透徹することで
この場の力が高められている。

c0087532_79952.jpg

盛り土し、芝生で覆われた緩やかな斜面の向こうに片流れの屋根が見え、
屋根のコーナーにはガラスのキューブが載っている。
キューブの中には照明が仕込まれ、礼拝堂の採光のためのトップライトにもなっている。
このガラスのキューブが、霊園のほとんどこにいても目にとまるような高さにかがげられている。
でも塔を建てたような高さではなく、あくまでも林の中にひっそりとたたずみ、
大地がムクムクと盛り上がった頂点が光輝いている、そんなイメージが具現化されている。
水平に広がっていく意識の流れと内に秘めた生命力を同時に表現しているように思う。

c0087532_726493.jpg

池原先生の鉄のキャノピーや門扉のデザインからは学ぶところが多い。
納骨堂の入り口扉は鉄の一枚板に切り込みを入れ、鉄板がめくれて取っ手になったり、
ささやかな装飾となったりしている。
c0087532_7294696.jpg

墓石型に切り込みを入れやや倒れこんだようにめくったようなデザイン。
こういう詩的なものをさりげなく組み込めるには、さすがだなーと感心するばかり。


c0087532_7301118.jpg

ここんところよい建築を見ていたいなかったなあと反省してしまいました。
今頃、自分の習った先生の作品を見にいくという、自分の不勉強さを反省しつつ、
あらためて、建築の力というものを実感できたのでありました。
73年の作品なのだからもう40年近くたっているのに、
この建築によって高められた場所の力は全く衰えていないことに驚きを感じた。
この霊園を訪れている人々にとって、命と向き合うというかけがえのない時間を過ごすことに
この建築がどれだけ寄与していることかと思うと、
自分も建築家として立っていられることに誇りと喜びを感じ、勇気をいただいたように思います。
池原先生ありがとうございました。
by craftscience | 2011-01-29 07:45 |


<< 杉並区西荻窪B邸上棟 古材を使う >>